技術よりも大切なもの

 


「関わる人の意識と行動で、現実に起きることが変わる」のわかりやすい例をひとつ。それから、環境。


父は何かと例を提供してくれました。


この数日で父の心と精神状態、ふるまいに起きた変化は、ファシリテーターが覚えておく必要がある技術よりも大事なことを、私に見せてくれました。


それは、私が、ペニーとジェームズから、「シンボリック・モデリングのトレーナー全員が、共通してトレーニングで取り組んでいること」と教えてもらったものを、現実にしたものでした。

シンボリック・モデリングのトレーニングがリラックスした雰囲気の中で行われる理由でもあります。


なお、私は両親からは、仕事に役立つならば何を書いてもいいと言われています。

母は誰よりも、私の仕事の成功を願い続けてくれています。


父は、私に女の子の幸せを願い、母は、私に社会の役に立つ人になることを願いました。

私自身は、両方を願いました。



さて。


この前の日曜日まで、父は病院にいました。

毎日、夜中騒ぎ、失禁し、そのため、父は抗精神薬漬けになっていました。

統合失調症や精神病の人に使用される薬が、父には使用されていました。


私は医師に、薬のせいで父がおかしいと訴えました。

特に14:00に飲む薬は、飲んだ瞬間から父の様子が変わる、おかしい、と言いました。

けれど、医師は耳を貸しませんでした。


父は、日に日に様子が荒んでいきました。

人生に絶望しはじめているのが感じられました。


私が、父の居場所探しを急いだ理由です。

我が家の事情から、家に戻っても、父を絶望から救えるとは、私には思えませんでした。

父自身は非常に社会性とコミュニケーション力、適応力の高い人です。


父にはプロの手が必要だと、私は考えました。


父が、「ここが家だ」「ここは安全な場所だ」と感じられる場所、そういう場所を探しました。


「次の場所」、それは、彼に希望も絶望も提供できる、それが決定的にこの先を決めると、私の心には確信的なものがありました。


それは、「次に何が起きる?」と質問した後に起きることを見たクライアントの表情の数々が、私にすでに教えてくれていました。


メタファー・ランドスケープならば、願ったことのその先に絶望が広がったなら、やりなおせばそれですみます。

現実にそうならないように、バーチャルに確認するのですから。

願いは常にいい結果につながるとは限りません。


ところが、今は、現実の話。

やり直しはききません。

私は、大事な人を絶望に突き落とすわけにはいきませんでした。


私は、自分のコンディションをいい状態で保つための工夫をし続けました。

私の精神的なコンディションが、家族のこの先を決めると思ったからです。


それは、クライアントに質問するときに、私が気をつけていることでもあります。

自分がリラックスして、いいコンディションでなければ、いい質問は浮かびません。


相手を助けたいならば、まずは、自分のコンディションです。


初心者のファシリテーターは、まず、これを忘れがちです。



続く。