技術よりも大切なもの(2)

 つづき。

まずは、リラックス。

シンボリック・モデリングで使用するクリーンランゲージの質問を生み出したデイビッド・グローブは言ったそうです。


「ファシリテーターは、質問を当てる確率のゲームをしているようなものだ。」


質問を外したらどうするの?

簡単です。

また、すぐ次の質問をすればいいのです。


言い間違えたらどうするの?

簡単です。

即座に言い直せばいいのです。


ゲームに勝つ確率をあげるにはどうするの?

ルールを把握して、確率をあげる技を覚える。


技を覚えるにはどうするの?

練習する。


簡単です。


その人のコンディションがよければ、難しいことはありません。


ただ、この技の数が、シンボリック・モデリングは、非常に多いです。

最初は、誰でも使える技から。

そして、技は、日々、開発され続けています。

そのクライアントにだけ使える技もあるかもしれません。


そこに必要なものは、直感です。


最終的には、シンボリック・モデリングは、非常に直感的な技法です。

しかし、この直感は、天から降ってくる直感ではありません。

後から自分をモデリングしてみれば、「ああ、だからこうしたんだな」と説明できる直感です。


つまり、知識や経験を必要とする直感です。


学習しはじめた最初にはそれはありません。


私は何が言いたいか?


初心者のファシリテーターに確実にできることは、リラックスしかないということ。

覚えた少しの知識をあり余すことなく使えるように。


目の前にいる人は、その人自身が知らない新しい何かを眺めようとしています。


ファシリテーターが緊張していて、どうやって、クライアントは安心できるかな、と、私は思います。


ファシリテーターが自分が満足できるように、上手にできるかどうかはどうでもいいことです。

クライアントには、それは、一切、関係ありません。

それは、ファシリテーターに隠れた意図があることになります。

それは、クリーンではありません。


「私は、自分が上手にできたと満足するために、あなたにうまいと評価してもらうために、今からあなたに質問しますがいいですか?」と最初に聞けばクリーンです。

これなら意図は隠れていません。


クリーンなスタンスの意味のひとつは、「質問者側に隠れた意図がないこと」です。



まずは、クライアントが安心して、心や体、自分の体験に入り込めるように、「大丈夫だよ。私がついてるから」と、相手を安心させる必要があります。



何が起きるかわからないから。


そう、私は、思います。



偉そうに書いてますけども、ということはつまり、トレーナーとしての私の仕事のひとつは、学習者の人たちを、どれだけリラックスさせられるか、です。

学習者=ファシリテーターです。


だから、そのために、私自身が、どれだけリラックスできるかです。



つづく。