100歳の父(2)

 父が言った。


「実はな、お父さんも、一度だけ、自分の人生を後悔したことがある。」


私は、「ほう」と思った。

この人は、「我が人生に悔いなし」で有名な人だ。


それで私は興味しんしんで、父に問いかけた。

「そうなんだ。それは、何歳の時?」


父は、ふうっと息を吐き、神妙な顔をして答えた。

「84歳の時やな。」


私の体からは力が抜けて、私は笑いをこらえた。

なぜなら彼は、先日、80歳になったばかりである。


「そうなんだ。それで、84才の時、お父さんはどんな後悔をしたの?」と私が聞くと、父は言った。

「昔のことすぎて忘れたな。」



彼は先日、80歳になったばかりである。



「そうすると、今、お父さんは何歳なんだっけ?」と私は聞いた。


父は、何をいまさらというように、「100歳や」と答えた。



(本日の記事の中で、私が使用しているのはクリーンランゲージの質問です。)