普通とは意味が違う決めつけと思いこみ
「決めつけ」をしない、「思い込み」をしないとはどんなことでしょう?
クリーンランゲージが言うそれは、必ずしも、ネガティブな要素のことをさしてはいません。
日常で、決めつけ、思い込み、というと、「どうせ〜なんでしょ」とか、「あの人はいつも〜だ」とか、割とネガティブな言葉とセットになっているイメージがありますが、この場合は、そういうことではありません。
これ、最初によくよく理解する必要があります。
まあ、私は、最初の数年間、理解してませんでしたが(笑)
これを理解したら、上手になりました。
ほんとよ。
この決めつけ、思い込み、普段とは少し意味が違います。
そして、数少ないクリーンランゲージのルールのひとつです。
こちら、私が観察してきた結果、セッション中固まるファシリテーターが固まる理由の一つです。
それから、クリーンランゲージがわからないという人が、わかっていない一つでもあると推測しています。
これがわかっていれば、固まっている場合ではない、「質問するしかないこと」が理解できるはずなのです。
固まっている間、考えてはいませんか?
あなた自身の決めつけと思い込みをもとに。
というわけで、本日は、こちらを書いてみます。
なぜ、決めつけ、と、思い込み、はNGだというルールがあるのでしょう?
これはですね、単に、相手(クライアント)にいい作用がないからです。
そして、ファシリテーターもおそらく、仕事がやりにくくなります。
なぜかといえば、その決めつけや思い込みは、どこから来たのでしょう?
なぜ、あなたは、その決めつけや思い込みを持っているのでしょう?
ということを考えてみると、わかりやすいかなと思います。
決めつけや思い込みが悪いから、それをするなということではないのです。
好意的な思いこみや決めつけも、意味がありません。
ファシリテーションの邪魔をします。
あなたの仕事がしにくくなります。
何のためにクリーンランゲージを使うか、その目的は人それぞれですが、この場合、クリーンランゲージと決めつけと思い込みは、カレーにメロンと大根をいれるくらい、相性が悪いのです。
カレーにメロンと大根は、不味いですから、ぜひ食べてみて。
カレーのよさをぶち壊します。
でも、メロンと大根は、悪いものではありませんね。
そんな感じです。
食べ合わせが悪い。
クリーンランゲージで扱うのは、相手の世界観です。
あなたの世界とはルールが違います、物事の理解が違います、言葉の意味が違います。
今、あなたが手伝って叶えようとしているのは、他人の人生上にある他人の望みです。
あなたの人生上に存在するあなたの望みではありません。
あなたの人生上にあるリソースは、他人の人生上にはありません。
またあなたが持たないリソースを、他人は持っています。
クリーンランゲージは、ボトムアップの技法です。
だから、あなたの世界観は使わない、あなたの物事の理解は使わない(推測には使います)、あなたの持つ言葉の意味は使わない(言葉の意味は問いかけます)。
つまり、あなたの人生に存在する価値観は、あなたの人生では機能しても、他人の人生上では機能しません。
少なくとも、メタファー・ランドスケープの世界では。
だから、それらが頭に浮かんでも、「口にはしない」
それらが頭に浮かんだとき、「これは私の世界観だと気付けるようになる」
これ大事です。
気づけば、傍に置いておけます。
なぜならば、口にすれば、他人の世界に介入することになるからです。
そして、それを口にしないことが難しいことは、よくよくわかっているので、クリーンランゲージでは、原則、「クライアントが口にした言葉とクリーンな質問のみを使う」という制限がつけてあるのです。
あなたの世界観や理解や決めつけや思い込みが、ついうっかり、相手の世界に介入できないように。
さて、決めつけや思い込み。
これは、ポジティブなものでも、ネガティブなものでも、この場合、等価です。
他人の考え、他人の世界観、他人の理解、他人からの評価、という意味では、クライアントにとっては同じ。
いい悪いはありません。
全部、一緒。
「それは素晴らしい」も「それは悪いわよ」も一緒。
ほめてもけなしても、同じ。
それは、あなたの価値観で、あなたが理解した、あなたの評価です。
日頃、日常では役に立っているかもしれないそれらは、この場合、少し、傍に避ける必要があります。
それをしなかったとき、技法の根本概念のボトムアップが崩れます。
あなたの何かを提供するなら、それは、トップダウンのやり方です。
(それはそれで、別のやり方としてはありです。クリーンランゲージではやらないよというだけ。)
クリーンランゲージで使うのは、相手の価値観、相手の理解、相手の自己評価、です。
現実に、そんな状況は、誰の人生にもありません。
だから、意味があるのです。
やったことがない、体験したことがない、何もかも自分の思い通りの世界を体験すること。
良くも悪くも思い通り。
自由に失敗し(そうしたら何度でもやり直せる)、自由に考え、自由に望みを発展させる。
そうする中で、クライアントが自分自身で、世界観そのものを変化させることもあります。
価値観が変わることも、意味が理解が変わることも。
自分自身の力で。
そこに誰かの価値観が混入したなら、それは、いつもの世界です。
なぜ、わざわざ、「あなたは、何が起きればいいのでしょう?」という変ちくりんな質問から話を始めているか、その理由を思い出す必要があります。
クリーンランゲージが提供しているのは、日常や、いつもの世界、ではありません。
そして、その時に起きることは、おそらく、相手(クライアント)がこれまで考えてもみなかったことです。
それには、私は、毎回、びっくりします。
はあ〜!となります。
すごいわね、人間って!と。
セッションのあとには、もっとびっくりします。
それが現実に反映されていくことが多いからです。
クライアントにまかせればまかせるほど、私個人は、人間をどんどんと好きになりました。
それでも、私自身、数年前まで、「そうは言ってもさあ」と思っていました。
そんなに違うわけ?と。
ポジティブに思いこんで、ポジティブに誘導すればいいんじゃないの?
私が、「ああ、もう徹底的にクライアントに自分で考えてもらおう」と決めたのは、2つの理由からです。
こちらを、次はお話しします。