もし、あなたが違う言葉がいいなら、それで構いませんよ。一番大事なことは、理解することです:シンボリック・モデリング

こちらについては、そのうち、またどこか別のところに書くと思いますが、今日のところはこちらでシェア。

許可をもらいましたので、先週開かれた「知覚者」についてのシンボリック・モデリングのオンライン・ワークショップの中のほんとに一部分をシェアします。

特に、赤字のところを私はシェアしたいと思ったのです。


内容は、初心者向けの内容ではないので、だいぶマニアックですが、赤字のところは、シンボリック・モデリングを学習するすべての人に意味があると思ったのです。


理由は後で書きます。


なお、実際に語られていた内容から、微妙に編集されています。
(ジェームズ自身の編集です。Great Thank you!)
実際が知りたい方は、Inside Cleanをどうぞ。
日本語翻訳あります。
もう、本当に、シーズン4はおすすめです。



そして、以下、質疑応答の場面のやりとりです。


参加者:

知覚者という言葉を俳優/役者(actor)に変えてもいいんじゃないでしょうか?



ジェームズ:

そうだね、つまり、俳優/役者(an actor)と呼んでも構わないんだが、何もしない、ただ物事を知っているだけの知覚者も、実際に存在しうるんだよ。


そして、知覚者は、「(何かを)すること(doing)」を意図はせず、それよりは「在ること(being)」に伴う意図を持っていることもあるよ。


「知覚者」という言葉の出どころは、デイビッド・グローブを観察したことだよ。

デイビッドは、観察者(the observer)と被観察者(観察される側/the observed)、そして両者の関係性の話をよくしていたんだ。


しかし私たちには、「観察者」という言葉は、視覚的な志向性が強すぎて、他(視覚以外の五感)を認めない言葉のように思えたんだ。

それで、私たちは、それより一般化された意味を持つ「知覚者」という言葉を使っているんだよ。


だがね、マリアンが紹介してくれた一覧表にあったように、「(自分以外の)他の何かの存在や、感情、反応を知る方法」はさまざまだということを考慮すると、私が知っている言葉の中には、その全てにあてはまる意味を持つ言葉はないんだよ。そこが難しいところでね。


(訳註:「知覚する」の類義語が並んだリストがワークショップの中で紹介されていました)

 

でも、あなたが違う言葉がいいなら、それで構わないよ。

一番大事なことは、知覚者は特殊なシンボルだと理解することだからね


そして、今からお見せする動画を見ればわかると思いますが、メタファー・ランドスケープの中には、単に存在するだけで、(知覚者が持つような)特別な要素を持たない椅子や岩などのようなシンボルもある。

そういったものと(関わるのと)は違うやり方で、知覚者とは関わる必要があるんだよ。


抜粋以上。



一応、英語載せときます。


Participant: 

Could we change the word perceiver to actor?

 

James:

Yeah, I mean, we could call it an actor, the thing is, you can have perceivers that don't actually do anything, they just know things. And they can have intentions that don't involve doing, they involve more being. The word ‘perceiver' came from our observation of David Grove. He used to talk about the observer, the observed and the relationship between. And we just saw ‘observers' as too visually orientated which didn't allow for other things. So we use the word perceiver to generalize the meaning. But given the list that Marian came up with, of all the different ways it's possible to know that something else exists or has an emotion or a reaction - all those ways – you know, there isn't any word that I know of that covers them all. So we're stuck with it. But if you want a different word, it is fine. The main thing is to understand that perceivers are special kinds of symbols. And as you're going to see in the video we're going to show later, you know, you need to relate to them in different ways to a chair or a rock or something that's just in the landscape and that doesn't have those extra qualities.




もし、あなたが違う言葉がいいなら、それで構いませんよ。

一番大事なことは、・・・理解することです。


私は、これをシェアしたいと思ったのです。

それから、英語で学習する人も、言葉の理解はさまざまなのだということを紹介したかったのです。


シンボリック・モデリングの学習や、それから英語以外の言語への翻訳などでの言葉の扱いをものすごくよく表している言葉だと思ったからです。


私自身がジェームズとのやりとりの中で何度も目にしたフレーズは、「(自分が書いたものを)翻訳するときは、正しく翻訳することは考えなくていい。その言葉の機能(function)を翻訳することを考えなさい。大事なのは機能だ。」ということでした。


学習について、必要な言葉の機能は、理解すること。
理解をサポートすること。
自由に考えるのをサポートすること。


クリーンな質問に必要な言葉の機能(function)は、それがクライアントに作用(work)すること。


これは、私自身の翻訳についてだけではありませんが、使用されている言葉について理解するのが難しいことがあるという話は、時折、耳にします。


「私が知っている言葉の中には、その全てにあてはまる意味を持つ言葉はないんだよ。」


この部分が、翻訳に携わる人の気持ちにも、そっくりそのまま、あてはまるような気もします。


いわば、

「私が持っている辞書の中には、その全てにあてはまる意味を持つ日本語が載っていないんだよ。」


そして、今回は「知覚者」という言葉がテーマになっていますが、技法で使用されているそもそもの言葉自体がメタファーであることが多いため、英語の状態でも、「そのものが意味するすべて、そのものの機能の全てを表す言葉」はないことも、まま、あります。


そして、それを疑問に感じて口にする人は、今回のこれにかかわらず、ちょくちょく見ます。


そして、そういう時、シンボリック・モデリングを作った人たちがどういう反応をするかというと、非常に寛容です。

これは、まあ、彼らだけではありません。


要は、できればいいからです。


同じ理解でなくていい。

そもそも、クリーンランゲージ自体、それが大前提にある技法です。


用語は学習を促進するための単なるラベルに過ぎないという姿勢が、非常にはっきりしています。ただ、彼らがなぜ、その言葉を選んだのかという理由もはっきりしているので、どちらかというと、用語を覚えるより、そっちを理解することの方が重要な気がします。


その用語が表している中身はなんだ?

その用語は、どういうことを例えたメタファー?

何を意図している?という部分です。

(今回のやりとりのように)


おそらく、このスタンスも、最初に覚えておくと(または途中からでも)、楽ちんに学習できるのではないかと思いましたので、ご紹介してみました。


ちなみに、このPERCEIVERは、珍しく、訳が非常に楽ちんだった単語です。

ラッキーでした。


知覚者という訳を最初に考え辞書に載せた人に、心より感謝いたします!

ただし、まあこの場合、「者」は人間とは限りません。


そして、ジェームズは、岩や椅子(無生物)は知覚しないと言っていますが、「すべてのものに魂宿る」の概念が文化背景にある日本で育った人のメタファー・ランドスケープには、知覚したり意思を持っていたりする岩や椅子みたいなものも、実際、ちょいちょい登場します。

そして、それらが「家政婦は見た!」(例えが古いかしら?)ばりに、いろんなことを見ていて知っていることもあります。

そこは、文化の差かなと思います。


まあ、それはまた別の話。