近場の触れ合い

昨日の私は、午前中はくたばっていた。

昼から、自転車に乗って出かける用事があった。


なんと、目的地に着くまでのわずか10分足らずの間に、私は、なんども「ありがとう」と言った。


最初は、家のドアを開けた瞬間。

たまたまうちの前を掃除していた顔見知りの管理人さんに、私は「いつもありがとう」と言った。

管理人さんは、「いえいえ。あ、ベランダから飛び出しているバラの枝を僕が剪定しておきましょうか?」と言った。


私は、「助かります。ありがとう」と言った。

管理人さんは、本来、彼の業務外であるけれど、我が家のやたら育つ植物たちが、激しく敷地を飛び出していると、剪定してくれる。

本当は、彼は注意するだけでいい。

夫が単身赴任でいないのを知っていて、何かと気にかけてくれる。


私はもう一度「ありがとう」と言って、自転車を押して、廊下を進みはじめたら、今度は後ろから「こんにちは」と、二軒隣の同世代のご近所さんが声をかけてきた。

この人は、むちゃくちゃ美人で、いつも綺麗なかっこをしている。


私が「こんにちは」と返すと、ご近所さんは「最近、姿を見ませんけど、猫ちゃんは元気にしてますか?」とニコニコ笑った。


私は、「ありがとうございます。元気です」と言った。


(我が家と塀が繋がっているこのご近所さんの庭に、うちの猫一匹が、時々、出かけていく。

最初の頃は、大騒ぎで、管理人さんも一緒に猫捕物を繰り広げた。

私は、その後、菓子折りを持って頭を下げにいくということをしていた。

最近は、「猫ちゃんの散歩」と認知されている。

みんないい人で助かった。)


ご近所さんは、そのあと、外に続くドアを開けてくれた。

私は、「ありがとうございます。助かります!」と言った。



その後、自転車に乗っていて、信号機のない横断歩道を渡るたびに、車が止まってくれた。(いつも停まってくれるわけではない。)


私は、「ありがとう」と言いながら、頭をぺこりと下げた。


目的地に到着するまでの短い時間に、5回もありがとうと言って、私は、なんとも幸せな気分になった。

ニコニコしたまま目的地には到着。



しばらく、友達や知り合いには会えない時期、それはみんな同じだった。


だからだと思うけれど、近くにいる人たち、たまたま会う人たちと、以前より、コミュニケーションをとっている感じがする。


顔を見て話すこと、ちょっとした触れ合いが、以前より増えた気がする。

人は人と触れ合いたいもんなんだろう。



個人的には、環境が以前より、さらに温かく感じられるようになって、なんかよかったなと、私は思っている。