リソースになる記憶を作る

 リソース(自分が好きで自分を助けるもの)になる記憶を作る。


クリーンランゲージを学んだ後、私が変わったひとつは、日々に対して、「今日、自分が何を体験、経験し、どんな記憶を作るか」に以前より意図的になったことだ。


手っ取り早く言えば、「どういう風に今日を過ごすか」を、自分で可能な範囲はあらかじめ考えるようになった。



記憶がいかに人生に影響し続けるかは、それ以前にも知っていた。


私は、過去から来た自分の反応や行動を改善すべく、25歳から、自分と向き合ってきたからだ。

みなが自分と向き合いはじめるより早く。

これは、私の人間性とは関係しない。

私はただ、そうせざるを得ないところまで追い込まれただけだから。



クリーンランゲージを学んだ後、傷としての過去を眺めるより、リソースとしての過去を一日でもたくさん作ろうと、私は努力しはじめた。


リソースは、多ければ多いほど、いいからだ。


今日一日をいかにご機嫌で、いかに好きなように、いかに満たされて、いかに味わうか。


それが、未来の私を助けるから。

今日の私は、過去や未来の私を助けるためにも存在している。


今日も明日には過去になる。

傷ついている自分がいた過去を一日増やすか、違う自分がいた一日を作るか。


今日の私が幸せならば、過去の私は癒しやすくなる。

今日の私が幸せならば、未来の私はリソースが増える。



私とて人間なので、腹も立てば、へこみもすれば、傷つきもするのだが、そういう体験をしたら、できるだけ、ものすごいスピードで、そこを癒す努力もし始めた。

自分で無理なら人の手も借りる。


癒せたならば、その傷は、なんらかの学びも含むリソースへと転化させることも可能になるからだ。

新しい発想や、新しい知恵、新しいリソース。たくましさの強化。

いろいろある。



自分で選べる体験とは、「何を」体験するかより、「どのように」体験するかによるところが大きい。

なぜかというと、記憶の中では、「何を」の部分にあたる事実の部分は、必ず、歪むからだ。

事実を正確に記憶できる人はいない。

自分の世界観にあわせて、記憶の中で、事実はいかようにも姿を変える。



「リソースになる記憶を増やす」ように体験すると自分の中がはっきりしたことは、私の様々な選択に、ものすごく影響している。


いろんなことのやり方が変わった。

やり方に工夫するようになった。

体験は点ではなく、プロセスだからだ。



質問が身に染み込んだあたりから、それは自分の中で自動化された。


クライアントさんに尋ね続けた質問が、自分に染み込んだ。

クリーンな質問を一番聴いたのは、誰でもない私だ。


私が口にする言葉を一番聞いているのは、私の耳だから。



他者の願いやリソースを見つけ出し、それについて尋ね続けたことが、自らに返ってきた。


過去をいかように利用するかという点に。



そして、それは、私が、クリーンランゲージが好きな理由のひとつになった。

他者の自己探究を手助けすることで、手助けする人の思考にも変化が起きること。


他者の自由を尊重し手助けすることで、共に成長できること。



さて、私には、今日またひとつ、リソースになるだろう記憶が増えた。

それは、最高の状態の朝ごはんの時間だ。


私は、あらかじめ、メタファーの状態で、朝ごはんの時間を設定した。



「最高の状態で朝ごはんを食べる時、それは何のよう?」


朝ごはんを食べるの部分は、何にでも置き換えがきく。


答えが出たら、もう一つ質問。


「それがそのようであるために、必要なもの(サポートやリソース)はある?」




実は、パンデミックが始まった時にも、私は、この質問を自分に投げた。

ここに書かなかったのは、不安や恐怖が強い状態では、共感を得ないと思ったからだ。


家族を亡くす人も出るのがわかっていた。

家族を失って最高もくそもない。

その悲しみに、その人が潰れてしまわないように、祈るばかりだ。


(仕事を失った人には、クリーンな質問は使えると思う。質問は、「あなたは、何が起きればいいのでしょう?」だ。)



また、実験的でもあったし、うまくいくかどうかわからなかったのもある。



「(あなたにとって)最高の状態でパンデミックを体験する時、それは何のよう?」


ね?

変でしょう?


けれど、この質問は機能した。


私の中に、この一年は、人の温もりを味わった一年として残ることになると思う。

家族や友人と励ましあい、寄り添い、自分に素直に、そして、未来の計画を着々と練った一年。


最高の状態(の記憶を残すには)、現実の事態がいいか悪いかは、あまり関係しないと、私は気が付いた。


(もちろん、生命の安全がある上での話だから、そちらが脅かされているなら、話は別だ。命を守ることが最優先だ。)



とりとめなく、こんな感じ。