女の子との出会い

考えてみると、あちらこちらに寄り道しながら、真っ直ぐではない私の道の始まりにあるのは、小学一年生の時に出会った一人の女の子のような気がする。

彼女と私が会ったのは、1分に満たない短い時間だ。
正確には、会ったとすら言えない。
私と彼女は、どちらも親に連れられて道にいて、ほんの一瞬、目が合っただけだ。

それでも、三十数年経過した今も、私は彼女を時折、なんとなく思い出す。


その時、私は、両親と妹と日本料理屋さんに鍋焼きうどんを食べに行くところだった。
だから、日曜日の話だ。
メキシコシティにあった東京という名前のレストランの鍋焼きうどんを、家族全員が好きだった。
父のシボレーを駐車場に停め、レストランまで歩く短い時間に、私と女の子は遭遇した。


女の子は、マッチ売りの少女みたいに、ぼろぼろの格好をしていた。
彼女の母親らしき人も、ぼろぼろの格好をしていた。
そういう子供は、その国にたくさんいた。
生まれながらに家のない子供たちだ。


だから、見慣れた風景だった。


私と女の子の目が一瞬会った。


私は、その時、なぜか、自分がとても悪いことをしているような気分になった。

なぜ?


何故なのだろう。
今も、理由はわからない。


ただ一つはっきりしていたことは、自分が何もできないことだった。
私は、母から小銭のコインを一枚もらって、女の子が持っていた缶かんに入れた。


ただ、それだけの話だ。


それがどのように影響しているかはわからないけれど、今日もまた、あの女の子を思い出した。

なんの感情も伴わなず、ただ、女の子は私の人生の中にいる。