場所の話

 

メタファーやシンボルの場所の話。


最近、少し私の目につくこととして、初心者さんやちょっと進んだ方が聞き漏らすことが多い質問のひとつに、場所の質問があります。


場所は非常に重要な要素のひとつですが、例えば、クライアントが手を動かしながら、何かについて話をしていたりすると、半分以上の初心者さんは、「クライアントには、その何かの場所がわかっているから確認する必要がない」と思いこみます。


思いこみ、は、多岐に渡ります。


特に最初の頃、「正しい質問をしたい」という欲求がまだ強い頃。



果たして、手で場所を示しているクライアントには場所を尋ねなくていいのか、そうなのか、どうでしょう?


私の経験的には、それでも場所は確認した方がいいです。


理由は、これは、場所の質問に限ったことではありませんが、「注意」です。



質問をする時、ファシリテーターは、クライアントの注意をある場所へと誘っています。


場所について問いかけるときは、そのシンボルやメタファーそのものにも注意を向けてるようにクライアントを誘ってはいますが、もう一つ、場所そのものにも、注意を向けるように誘っています。



例えば、「胸の中に希望がある」とクライアントが言ったとしましょう。


「そして、その希望は、あなたの胸の中のどこにありますか?」



この質問が問いかけているのは、注意を向けるように誘っているのは、その人の胸の中です。

空間に注意を向けるように誘っています。


希望がある場所そのものについて。



場所の質問は、覚えやすいように、場所を確認しているだけではありません。



特に、クライアントが日本人の場合は、この場所へ注意を向けるように誘うことが、話を大きく転換することがままあります。


形にならなかったものが、場所に注意を向けると形になることも多々あります。


言語化できなかった情報が、場所に注意を向けることで言葉になることも多々あります。



何しろ、私たちは、「空気を読む」ことに長けた国民性を持ちます。

クライアントに自分の中にある空気を読んでいただくことは、重要です。


ファシリテーターは、空気を読んではいけません。

自分の空間に満ちた空気を読むのは、クライアントです。


空気は、場所や空間に満ちています。



場所、大事です。