営業研修×クリーンランゲージ
ふと思い出しました。
フリーランスになった後、もともと働いていた会社から研修の仕事が入りました。
それである時、20人ほどの新入社員に営業研修をした時のこと。
私は、30代半ばやったと記憶しています。
会場の後ろでは、まだ20才にならないチャラい女子大生だった私のことも知っているおばちゃんが、会場最後尾の椅子に足を組んで、私の真正面にどかっと座り、私を見張っていました。
あれは、怖かった。
今、考えると、よく予算をくれたこと。
それはどうでもよくて、その研修は、クリーンランゲージを使い倒した研修でした。
営業は言葉を使うので、ちょうどいいと思ったのがひとつ。
それから、メンバーの学歴やタイプにばらつきがあることがわかっていたからです。
話は、新入社員がよくやらかす、クライアントや上司から「急がなくていいから、やっといて」を、本当に急がず、ほったらかして怒られることに始まりました。
言葉をそのまま受け取り、話の文脈が読めない若い子が多いのは知っていたからです。
また、彼らは怒られたことが一度もないまま、大人になった世代の人たちだということがわかっていました。
それで、彼らが適応障害になるのを防ぐために、「人から怒られた時は?」の対応をしました。
いわばアンガーマネジメントの逆です。
アンガーアクセプタンスとでもいうか。
彼らが怒られないのは不可能だと、現実的に考えて。
理解ある大人が増えるばかりでは、社会がアホの集まりになるのではないかと思い、怒られるその瞬間、彼らに起きることはわかっていたので、それを防ごうと考えました。
そして、私は、アンガーマネジメントはできない大人が、彼らが向かう先にいることも知っていました。
そこは、そんなに意識の高い業界ではありません。
立ち直りも大事ですが、立ち直りが必要な状態にならないようにすることもまた大事かと。
打たれ強くならなくても、理解力で、ある程度は防げると考えたのです。
感情にフォーカスするのではなく、話の文脈にフォーカスすることで。
相手が伝えようとしていることは、感情ではないと気づけることで。
クリーンランゲージは、価値観がバラバラだということが、技法に組み込まれているので、いわば、相手の価値観を確認する質問が揃っているのです。
私はその質問の中から、2つをピックアップして教えました。
たくさん教えても、彼らが覚えないこともまた、理解していたからです。
営業研修では、メタファー・ランドスケープを現実で作る方法を教えました。
言葉は違う言葉を使って。
一つ、シンボルを提供して、それを売る練習をしました。
セッションで、メタファー・ランドスケープを眺めるクライアントがそうであるように、彼らの目はキラキラしていました。
物を売るときに必要なことは、メタファー・ランドスケープを作るときに必要なことと、そうは変わりません。
というわけで、その他もろもろ。
研修が終わり、片付けをしていた私のところに来たおばちゃんが、言いました。
「おつかれさま、先生」
それからまだ片付けをしていたら、ひとり、男の子が近づいてきて言いました。
「先生、また研修してもらうには、どうしたらいいですか?」
なんとなく、今朝、この話を思いだしました。
クリーンランゲージが持つ効果の一つは、副次的ではありますが、言語化能力、表現力、理解力の強化です。
自分が考えること、思うことを、言葉にする能力。
なぜかというと、言語化させるからです。
比喩の状態で。
現代社会を生きる上で、言語化能力と表現力、理解力は、その人の生きやすさにかなり影響を与えているはずです。
それを鍛える方法はいろいろありますが、シンボリック・モデリングのやり方は、楽しいので、私は好きです。
営業研修にも、クリーンランゲージは使えます。