来年のマインドセット
おじいちゃんみたいになりたい。
私自身が25年近くかけて育てた私は、母が育てた25歳の私が思ったことと同じことを思った。
祖父の死から始まった全ては、祖父が死ぬ前に思っていたことと同じことに帰結した。
おじいちゃんみたいになりたい。
周りにいる人が、みんななぜだか笑い出す、なぜだかみんな心が温かくなる、そんな人に私もなりたい。
40歳で事故にあい、障害者になった祖父は、自分を嘆くこともなく、ふらふら遊び暮らしていた。
暇だった彼は、やがて生まれた孫娘を引きずり回して、たくさんたくさん遊んでくれた。
孫娘に、愛を教えた。
愛する人を喪う悲しみを教えた。
葬式の日に、40年間無職の人の葬式にわらわら集まった誰かわからない200人の人たちに孫娘が話しかけたことで、孫娘は、彼がふらふらしながら何をしていたかを知った。
孫娘の問いかけに、参列者の人たちは、みな、同じことを言った。
「おじいさんには大変お世話になりました」
話を聞いた孫娘は、確信した。
おじいちゃんはただ、楽しんでいただけのはずだ。
人と話すのが、おじいちゃんは大好きだったたから。
「あなたがおじいちゃんの一番いいところをもらった」と、私の身内は私に言う。
誰とでも仲良くなる人懐こさ。
おおらかさ。
ケラケラ笑うところ。
コミュニケーション力。
私は、祖父と出会ったその時の、祖父の年齢に、あと数年でなる。
私が見たおじいちゃんのように、私もなりたい。
周りの人をたくさん笑顔にしたい。
なぜだか、みなが、笑いだしてしまうような、心がぽかぽかする空間を作りたい。
やり方は、おじいちゃんとは違うけれど。
遊ぶことには変わりない。
25年もかけて、私は、最初の場所に帰ってきた。
遊び道具を手に入れて。
私の遊び道具は、シンボリック・モデリング。
こんな面白い道具はない。
みんな、笑うし。
私は、この世を遊びつくしたい。
そして、おじいちゃんのように、最期は、後に残る人たちが思い出すたび、涙を流して笑うくらい、笑いが取れる死に方がしたい。
今から20年。
遊びジャンプしながら、走ろう。
さて、マインドセットが完了したところで、私の今年は終了。
おじいちゃんみたいになる。