父との議論

 先日、両親と三人で昼ごはんを食べた。

父は、私がいると機嫌がいい。


「お父さん、ありがとうね、ディスカッションを褒められたよ」と、私は父に言った。

言ったところで、今を生きる人は、まあ、すぐに忘れてしまうけれど。


彼が私を鍛えた。

何を思ったか、昭和な時代に、彼は言った。


「女の子だって、きちんと自分の意見が言えるようにならなきゃいけない。そうでなければ通用しない。大人になって、ちゃんと議論ができるように練習しなくちゃいけない。」



父には、何が見えていたのだろう?



彼は言った。


「お前はどう思うの?」


「先にお前の意見は?」


「自分の頭で考えなさい。」


「それはどういう理由で?」


「お前はどうしたいの?」


「わかるまで考えなさい。」


「自分で調べなさい。」


「恥は自分でかきなさい。」


「自分で失敗しなさい。」


「お前はどう思うの?」


「自分のことは自分で選びなさい。人のせいにするな。」


「お前はどう思うの?君の意見は?」



やたら理屈っぽい私は、そうして、誕生した。



そうして、その日も繰り広げられた父と私の議論を、母は、いつも通り、嫌そうな顔で眺めていた。


お題は、私の夫が無口なことについて(笑)



なんだって、議論のテーマになる。

なんだってテーマになった。


ともかく父は、私に、議論させたがった。

彼自身が、議論好きなこともあったのだろう。


あと何回、父と議論できるだろう。