家事の分担オペレーション
まだ結婚する前、30代に付き合った男性達はみな口を揃えてアピールした。
自分は家事ができることを。
結婚したら、当然、自分も一緒に家事はすると、尋ねてもないが彼らは言った。
それ以前にも、男友達が似たようなことを言うのを何度か聞いた。
彼らがそういう理由は共通していた。
子供の頃、母親が父親にこき使われているように見えて、とてもかわいそうだった。
自分はああはなりたくない、というものだ。
女性が結婚をためらう時、結婚したら、配偶者の面倒をみなくちゃいけないのがめんどくさいという話を、ときたま耳にする。
私も、やや、そう思っていた。
私の場合は、最初の結婚で、新婚旅行から帰ってきてスーツケースの中の8日分の洗濯物を洗う私を、前夫が寝転んで眺めていたという実体験を持っていたからさらにだ。
私の失敗は、そこで、何も文句を言わなかったことだ。
関係性の構築をサボったと言っていい。
当時、24歳。
知恵が足りなかった。
先人が残した知恵の活用ができなかった。
鉄は熱いうちに打て。
また、もんもんとしたが、今ほど上手に気持ちが表現できなかった。
相手も24歳。
2人は実家から新居へとやってきた。
私はもんもんとし続けた。
37歳。
2度目の結婚は、料理以外の家事の全てが自分より上手い人が夫になった。
彼は、父親にこき使われる母親を見ては育たなかった。
父親が家事をする家で育っていた。
それでも、最初の最初、私は主張した。
「がんばりません。あなたがしていることは、働く女性が普通にしてきたことで、働いて家事をする女性がほめてもらえると思う?」
自分がやること、として家事を考えた夫は、家事の自動化を主張した。
一人暮らしが長かった2人は、疲れた状態でする家事が、たとえ洗濯機のボタンを押すだけでもめんどくさいことがあるのを知っていた。
全自動洗濯機、食器洗い。
掃除機だけは、家がバリアフリーではないので見送った。
楽できるところは楽をすることにした。
夫が絶対にやらないのは、猫のトイレ掃除と人間のトイレ掃除だけだ。
私はどちらのトイレ掃除も、子供の頃から自分の仕事だったため、これは、苦なくできる。むしろ好きだ。
8年経った今では、家事について考えることはなくなった。
なんとなく分担が決まっている。
夫の方が多いかもしれない。
ぱっきり役割を分けてはないから、相手が忘れていればやる。
お願いすることはあっても、相手を責めることはどちらもない。
家事に関しては、相手にお礼をいうことはあっても、文句を言うことは、互いにない。
ひとつ言えることは、一人暮らしの時よりはやることが減っていて、明らかに楽だということだ。
夫も、一人暮らしよりはやることが減ったと言っている。
最近、ある男友達が言っていた。
彼は長く一人暮らしをした後、結婚した。
妻になった人は実家からやってきた。
彼はすぐに、自分の方が手際がいいことに気がつき、家事をやろうとしたが、妻の抵抗にあった。
しばらくして、妻がキレた。
私ばっかり、しんどい!
だから、やるって言ってんのに、やったら怒ったのは彼女やねんわ、と彼は笑った。
結局、話し合いの末、2人でやることになったそうである。
専業主婦の友達の家は、完全に分業で、家のことは彼女がやる、子供のことは2人でやると決まっているらしい。
ともかく稼げが、彼女の家庭では夫が担当していることで、彼女は満足している。
ただし、アイロンがけだけは、夫が細かいので、夫が自分でかけていると言っていた。
家事のオペレーションも、家庭によって様々だ。