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今回起きたことで、私は、ああ、メタファーを使って人をサポートしたり幸せにしたりする方法が、もう一つあったのか、と気づきました。


他人から、その人自身の固有のメタファーを引き出す手伝いをする以外にもう一つ、自分にできるメタファーの使い方を見つけたような気がしたのです。


それは、自分の夢のメタファーランドスケープに他者を招きいれて、みんなに幸せな気持ちを分けることです。


この方法、考えてみれば、古今東西に渡り、実に多くの分野で、多くの人々が使っています。
分けているものは幸せなものとは限らず、時にはとんでもないことに巻き込まれてしまうこともあります。


そして、多くの場合、一庶民である私は、だれかの生み出したメタファーランドスケープに巻き込まれています。

例えば、国もそうです。
国って何かわかります?
国土のことを、国とは言いません。
政府のことを国というのでもありません。

だけれども、多くの場合、神話から始まる国というシンボル的なメタファーが取り巻く世界の中を、私たちは生きています。

国、の正体はいったいなんなのか、知らないけれど、私は、日本国民です。
私は、国の全容を見たことはありませんし、おそらくわからないまま、その人生を終えるのだと思います。

これに巻き込まれない方法を、今のところ、私は思いつきません。


さて。
私が招きいれようなどと思う以前から、
今回、私が抱いたメタファーランドスケープには、実に様々な人が参加してきました。
そして、それらの人々は、メタファーランドスケープというイメージに参加しただけではなく、きちんと現実的に、そのメタファーランドスケープが現実化した空間に存在したのです。


私が、今回一番驚いたのは、その催しの最後から2日目のことでした。

私がこの催しについて描いたメタファーランドスケープの中に「美しい街」という表現がありました。

その表現を私が、話した時、「そこには自分もいるな。笑ってる。」と言った人がいました。
今から2年は前のことです。
その頃、私はメタファーランドスケープが意味することが具体的になんなのかすら理解していませんでしたから、ふうん、と思っただけでした。


その人は、今回の催しとはまるで関係なかったのですが、なんと最後から2日目、私が催しを抜けて書類を作りに行った先で、たまたまそこに居合わせたその人に会いました。

びっくりしました。


あれまあ、ほんとに、いた!と思ったのです。
そして、その人は笑っていました。
なんで?と。

私が突然、現れたからです。
こちらもびっくりしました。


そして、今回、催しの中で、私は何度となく、これは私の夢だったと、参加者の方に語りました。

そう語っていたその瞬間も、私は、とても不思議な気持ちがしていました。
メタファーランドスケープが、私の周りをくるりと取り囲み、どんどんと拡大していくような感覚に襲われ続けたからです。

参加者の方を、自分の夢に巻き込んでいるような気すらしたのです。
コントロールするということでなく、ただ、私のメタファーランドスケープが参加者の方々やスタッフの潜在意識と、楽しく相互作用しているような感じがしたのでした。


そして、その中で、新しいリソースが、ぽこぽこと生まれ続けているような気配がしたのです。

これは、今までに体験したことのない感覚でした。