創発(エマージェント)とリソースの力

3/22から24までの3日間、10人の人たちと一緒にワークショップをしていました。

ワークショップの名前は、「シンボリック・モデリング イントロダクション」

難しい内容をするつもりはありませんでした。
「幕内弁当」がある「遠足」が私のメタファーだったから。


とにかく、「できる」体験を重ねること。
とにかく、「面白い」体験を重ねること。
とにかく、「学ぶ楽しさ」を感じられること。
とにかく、この先を助ける「リソース」を手に入れること。

私が決めていたのはそれくらい。

そして、一つ、「創発的」にグループファシリテーションをしたらどうなるだろう?
それを見てみよう、というのが私の裏テーマでした。

つまり、プログラムをかっちりと決めずに、その時、生まれる流れに身を委ねてみようと思ったのです。
グループが持つダイナミクスを使ってみようと思ったのです。


「何が起きるか見てみよう」と。


そうしたら、そこに登場したのは、私が見たことがない「イントロダクション」でした。

私は人が持つ創発の力のものすごさを目で見ることになりました。

それから、日を追うごとに、参加者さんの顔がキラキラしていくように見えました。
私は、リソースの力を再確認しました。


同時に、ほぼアドリブでやらざるを得なかったので、ワークショップが終わった次の日、私はほとんど限界値を超える疲れ方をしていました。

そうなんだった、創発的にダイナミックにやろうとするなら10人同時にモデリングする必要があるんだった…と、途中で気づきましたが、もはや引き返せず(笑)、「どうしてかっちりしたプログラムを組まなかったんだろう。うん、そうだね、それはつまらんと自分が思ったからだね」などと不毛な議論を、行き帰りの電車の中、自分の頭の中で繰り広げました。

なぜに、最初の最初で、自分の限界を越えようとしたのだろう、私…(笑)


ワークショップの途中で、アシスタントで入っていてもらった仲間が私に「あなた、同じことを3回もやったら自分はもう飽きる、早く誰かトレーニングをしてくれと言っていたけど、このやり方なら毎回違うことが起きるから飽きないんじゃないの?」と言ってきました。

飽きないな、と思いました。

ただし、私は、むちゃくちゃ勉強する必要があると思いました。

私はワークショップ中に登場した質問には、何が登場しようと全て答えると決めていました。

ところが、それが登場するとは思わなかったことが、バンバン登場しました。
しかも、完全な初心者さんたちから、その質問は登場しました。
初心者向けの内容ではないので、それらについては、テキストにも書きませんでした。

なんならそれは、3冊目のテキストに登場する内容でした。
(私はまだテキストを1冊しか書いていません)

それらは、私の頭の中では、まだ英語のままでした。
私が昨年秋参加した、シンボリック・モデリングのファシリテーターレベル1認定を持っている人対象のアドバンスのコースで登場していた質問でした。
私が日本語で習ったのは最初だけです。
この8年、私の学習は全て英語です。
つまりは、私が日本語では習わなかったことばかりが、質問として登場したのでした。

「ええ、これは2年後にお話しする予定だったのですが…」などと笑いながら、私はそれらについて説明しました。

頭の中で、英語を日本語に翻訳しながら(笑)
誰か〜、助けて〜!と思いました(笑)
いやまあ、誰か来てくれたところで、英語なのでどうしようもないんですけど(笑)

私は日本語が欲しい(笑)


涼しい顔をしてグループファシリテーションをしながら、私の中で起きていたのは、必死のパッチで英語を日本語に翻訳し、それを初心者さんにもわかるように簡単なモデルに変換し話すという、大騒ぎなことでした(笑)
綺麗な洋服を着ていましたけれども、心の中、私はジャージ姿で走り回っていました(笑)


というのが、私の話。


私が目にしたものは、楽しそうに学習する人たちでした。
好奇心いっぱいに質問が飛んでくることでした。
どんどん賑やかになっていく会場でした。

そして、笑顔で、最後のシェアをしてくれた人たちでした。

遠足の終わりの会をそこに見ることができました。


そして、その時、私の心は、とてもとても穏やかで静かでした。
やってよかったな…と思いました。


そして、今朝。

「翻訳しないといけないリスト」が私の頭の中に一覧で浮かんできました。

私は、テキストの2冊目は、ゆっくり書けばいいと思っていました。
そうではない、と、この3日間が私に教えました。
急げと、この3日間が私に教えました。

生まれた好奇心の芽がすくすく伸びていくために、私が確実にサポートできること。
それは、翻訳で文章。

そして、それをサポートしてもらうために必要なものは、私の日本語を英語に翻訳したもの。私の先生は、英語しか読めないので。


今朝、私は再び、学ぶ人のモードに戻りました。
教えるために学ぶ人。

今度は、日本語で教えながら、英語で学ぶ。
私の中の教える人と、学ぶ人が一緒に成長していく感じになるのではと思います。
教える人は眠り姫、学ぶ人はアヒルさん。
2つのシンボルが一緒に楽しくやっていくことになるのでしょう。


私は、自分が「始まりの場所」にようやく立ったことを理解したのでした。


そして、浮かんできたのは、どこまでも広がる青い空と、どこまでも広がる青い海。

どこまでも自由に広がるそういうもの。

その先に何があるかは、その人次第。


けれど、最初の場所に立った時、どこまでも広がる自由な世界を用意できるようになるために、私に起きる必要があることは、「日本語」


英語を翻訳しながら、日本語で喋る時、「助けて〜」の気分になることがよくわかったので、ここから私がする必要があることは、ひたすら英語から日本語への変換です。


つまり、起きたことが私に教えたことは、ここまで歩いてきた道が間違いではなかったということ。
これからも、これまでと同じように、普段は静かにキーボードを叩き続ければいいということ。


何が起きるか見てみて、私がそこにこの目でみたのは、キラキラする人の姿。
そして、同時に心の目が見たのは、助けて〜とジャージ姿で走り回る私の内側。
創発と好奇心の力を侮っておりました。

すごい、人の持つ力は。

本当にすごい。



というわけで、今、私に起きていることは、とりあえず今週は家族と過ごして、来週から、また、コツコツやろうかな…という感じのことでした。


私が見たものは、自分の前に伸びる道ではなく、自分の後に伸びていた、これまで私が歩いてきた道でした。
少しだけ振り返って、「うん、この道でよかった」と納得した自分でした。
しんどい方を選んだことに納得しました。

そして、引き続き、コツコツやっていくことに決めました。
この道の先にあるものに、「好奇心」が湧いたからです。


参加者の皆さんにもいろいろと起きていましたが、私にもいろいろと起きた3日間でした。

きっと一生覚えている3日間だと思います。



参加者のみなさんにお礼を。


私をトレーナーにしてくれて、ありがとう。