眠り姫の話
自分の中で消化できたので、そろそろ書いてみましょう。
「眠り姫」のはなし。
これは私自身、最強のメタファーです。
なぜならば、これは、私の統合されたセルフを表すメタファーだからです。
言葉を変えるなら、私の自我そのものです。
名前通り、眠り姫は、長い長い間、眠っていました。
そして、目覚めるために、私を騙すという方法を使いました。
いつか、このセッションについては、セッション記録をシェアする予定でいますが、今はまだ、要約だけをシェアします。
具体的には、そのとき、私はジェームズとペニーからトレーナーになるためのセッションを受けていました。
アイスブレイクの時間に、私が今日は何をしたいのか、一通り説明した後、ペニーが私に問いかけました。
「それで、あなたは何が起きてくれたら好いのでしょう?」
私の口からは言葉が出ませんでした。
ペニーが笑いました。
「今、説明していたじゃない」
私は、笑って、それでも言葉が出ませんでした。
代わりに、私の全身には鳥肌が立ちました。
英語で鳥肌をなんと言うかわからなかったので、「チキンのスキン。わかります?」と私は言いました。
よいよ言葉は出てこず、私はただ、う〜っと笑いながら、腕をさすりました。
それで、ペニーが「それ(鳥肌)について、他に何かある?」と問いかけてきました。
すると、私の口からは「何かが、私の体の上を歩き回っている」という言葉が登場しました。
そうして、そこから、質問は続き、歩き回っているものの名前が、「眠り姫」であることがわかりました。
そうして、やがて、「眠り姫」は、私が生きる目的のようなものであることもわかりました。
長い長い間、眠っていたことも。
そこから、半年以上が経ちました。
その間、私は、いつ、眠り姫が眠りについたかに気づきました。
24歳のある夜、です。
そうして、眠り姫は、なぜ、先に私の体から出て、それから、私に存在を知らせてきたのかにも気づきました。
私が痛みや絶望感を追体験しないようにです。
眠り姫は、起きることだけが必要だったのです。
眠りについた理由を、感覚として、私が思いださないように、メタファーが配慮したようでした。
私の人生の最悪の夜、眠り姫は眠りについたからです。
その夜、私は、山のような睡眠薬を飲みました。死ぬつもりはありませんでした。
ただ、生きるのが苦しくて、長く眠りたいと思いました。
結果、私は死にかけました。
病院では、手遅れだ、本人に生きるつもりがあるか次第と言われ、家族は眠れない夜を過ごしたそうです。
私がした最大の親不孝です。
後からお医者さんに、脳に後遺症が残らなかったのは奇跡だったと言われました。
そうして、半年くらい経った後、眠り姫は、もう二度眠らないということが私にわかりました。
そして同時に、私は、今、私が感じているものは、眠る前の眠り姫が大好きだったことに近いと理解しました。
ピアノの音を聞きながら、テキストを編集しているとき、おそらく、私の体は演奏しています。
ついでにいうなら、私はただいま、バイエルを書いています。
バイエルは、ピアノの初心者用の楽譜です。
体系だてられた学習方法が確立しているクラッシックピアノの学習法を、テキストには採用しています。
エクササイズは、バイエルと同じ仕組みで作っています。
私は、ソナチネくらいまでは書きたい、と、先日言いました。
楽典はすでにありますので、翻訳すればいけます。
シンボリック・モデリングやクリーンランゲージにないのは、バイエル、ソナチネ、ツェルニーなどの技術練習用の素材です。
それがあれば、もっと簡単に、技術を習得できると私は考えているのだと思います。
ついでにいうと、シンボリック・モデリングは、ジャズだと思います。
アレンジ自在、自由演技のための技法。
クリーンランゲージは、クラッシック。
クリーンランゲージやシンボリック・モデリングについて語るとき、おそらく、私の体は歌っています。
私の頭の中では、リズムをとるために、音楽が流れ続けています。
ピアノを弾きながら歌うことは、眠り姫が眠る前、彼女の仕事でした。
彼女が自分のアイデンティティの中心においていたものです。
あの頃、ピアノが弾けなくなった自分の価値はゼロだと、彼女は考えました。
彼女は、自分の中心に自分以外の価値をおいたために、ひどい目にあったのです。
眠り姫は目覚めました。
そして、そのあと、私に、バイエルやソナチネの発想をもたらしました。
クラッシックピアノの演奏を聴きながら、私はテキストを編集しています。
指は、キーボードを叩き続けています。
私は、何一つ失わなかったことを、目覚めた眠り姫は教えました。
すっかり癒された状態で復帰した眠り姫がしたいことは、「働くこと」です。
自分の願いを叶えてやるために、私がすることは簡単なこと。
人の役に立つために働くこと。
普通に毎日していること。笑
なんとしょうもないオチ。
この境地に20代に至っていたら、私は、今頃、大金持ちだったと、最近、たまに思います(笑)
そして、私がメタファーが好きな理由は、このように、辛い過去を持つ人が、その辛さを追体験することなく癒されたり、前に進むことをサポートできるからです。
メタファーは賢いです。
自我ですら、体外に飛び出していくことができます。
知覚させないという離れ業を使ってみせる。
賢いです。