INVITING METAPHOR:メタファーを「誘う(いざなう/IZANAU)」のか、「招く(MANEKU)」のか
もう細かい細かい細かいところを考え始めた私は、目下、「INVITE」という単語の訳を考えている。
この単語、しょっちゅう登場するんです。何かと登場するんです。
クリーンランゲージの話の中で。
普通なら、招待するとか誘う(さそう/SASOU)とか、促すとかまあ、そんな感じ。
INVITING METAPHORと書いたり言ったりするときは、それは、何をしているかというと、「なんらかクライアントが言った言葉をメタファーに変換する質問をする」ことを指しています。
その他、INVITING CLIENT TO PSYCHOACTIVEなら、クライアントのサイコアクティブな状態を活性化させるための行動をすることですし。(場所の質問をしたり、ジェスチャーを繰り返したり、関係性をはっきりさせたりする)
ともかく、行動として、なんらか、ファシリテーターはするわけで、それは、クライアントにそれらをするように「促している」とも取れるけれども。
ここで、重要なことはこの場合、クライアントは「NO(いやだ)」が言えること。
INVITEを使うときは、こうしなさいと指示はしてませんし、クライアントを導いてもいませんし。提案してもいない。
ただ、質問してるだけ。問いかけているだけ。
クリーンランゲージは「誘導はしない」、これ、大原則。
やりたくなければ、やらなくていい。
変わりたくなければ、変わらなくていい。
気づきたくなければ、気づかなくていい。
やれるように、変われるように、気づけるように、手伝いはするけれども、やりたい人がやればよく、変わりたい時に変わればよく、気づきたい時に気づけばいい。
というわけで、INVITEをどう訳すかの時に、「促す」「導く」は外すというのは、最初から私の頭にはあるわけなのですが、ここにきて、「え〜、どっち〜?」と迷いが生まれております。
誘う(IZANAU)のか、招く(MANEKU)のか。
メタファー関連の翻訳本を読み倒してみたところ、大体の翻訳家さんたちは、誘う(IZANAU)と訳してはりました。
私も、そこを踏襲して、これまでは誘う(IZANAU)と訳しておりました。
でも、なんだか、招く(MANEKU)もありだなとふと思い。
マニアが集まっているオタクのクリーンランゲージ勉強会で、私は「どっちがしっくりきますか?」と質問してみました。
すると。
割れましたね、分かれましたね、意見がね!(笑)
「メタファーを招く(MANEKU)」も、「メタファーを誘う(IZANAU)」も、「メタファー」なんですよね。
だからね、割れましたよね、意見がね!(笑)
それは、実に興味深い面白いやりとりでした。
私は、ケラケラ笑いながら、登場する、「それぞれの理解」を聞いていました。
数人でこれだけ違えば、もっと人数が増えたらどうなるのでしょう?と。
クリーンランゲージを使う人は皆、細かい一語が与える影響についてはよくわかっていますから、細かい一語の訳についても、「自分の意見や解釈」を割とちゃんと考えてくれるので、楽しいのは楽しいんですけど。
そこでは答えは出ませんでした。
招く、と、誘う、に、個々に持っているそれぞれの理解が違うのですよ。
その他の単語と同じように。
さあ、「よりNOが言いやすいのはどちら?」と、私の頭はくるくる回り。
そして、結論として、「しばらくどちらも混ぜるので、違和感があったら教えてください」ということにしました。
この場合、私の翻訳の目的、意図は、「理解の促進のサポート」および「学習のサポート」です。
私自身なら、「メタファー変換」が一番わかりやすい。
そして、「サイコアクティブの維持促進」
なぜ、誘い、なぜ招くのかというその理由が、私には一番わかりやすい。
しかし、それにはそうしないという選択肢がクライアント自身にあるということが、その表現では伝わらない。
・・・ので、さて、誘うのか、招くのか。
イメージが掴みやすいのは、さあ、どちらでしょう?
誘う(IZANAU)のか、招く(MANEKU)のか。
作業は同じ。
行動は同じ。
メタファーに変換したり、サイコアクティブな状態を促進したりする。
より、クリーンな意図が伝わりやすいのは、どちらでしょう。
このフレーズは、登場回数が多いので、そのうち、決まることでしょう。
そんなこんなで、だんだん、日本語と戯れる時間が増えてきたのでした。
面白いけれど、こんなやり方をしているために、遅々として翻訳が進まないのが、目下の悩み。