喜ぶ、褒める

少し前に、長い時間をかけた仕事がひとつ終わった。
6年。

それは、最初は遊びだった。
友達と遊びではじめて、やがて仕事になった。
物を作る仕事。
言葉と色を使った遊びで使う物だ。


修正作業を何度も重ねて、その中で、友達はただの友達から、信頼できる相方になった。

それは、35枚のカードと本からなるもので、作る作業中、私たちは1枚1枚のカードに書かれた文字や色を、自分の人生の中で体験した。

2人に少しずつ時期をずらして、同じようなことがそれぞれの人生の中で起きた。

私たちは、起きたひとつひとつの出来事や心理状態を分析した。
そうして、カードに書かれた言葉や色をひとつひとつ確認した。

カードに書かれた言葉は、ポジティブでもネガティブでもない。
それらは、単なる動詞だ。

それらの動詞に、ポジティブ、ネガティブの意味づけをするのは、その動詞が表す行動の結果だ。

そういう意味では、全てのカードは、ポジティブであるという判断を、私と相方さんはした。

私たちが望んだものはただ、幸せや豊かさだったからだ。

人生の中にそれらをもたらすことを手伝う行動。
それが、わからない時に、選択肢の一つを提供するカード。

遊びの中で。
なんら神聖なものでも、意味深いものでもない、単なるおもちゃを私たちは作った。


考え方はたしかに人生を変える。
ただ、行動や発言がそこに伴わない時、人生は変わらないということを、嫌というほど見た後だった。

「動いてみる、その背中を少しだけ押したい」と、最初の頃、相方さんは言っていた。


そして、最後に、私たち2人にやってきた言葉と色は、褒める、喜ぶ、だった。

他人を褒める。
他人のことを喜ぶ。

自分を褒める。
自分のことを喜ぶ。


私たちは、喜んだ。
自分たちの数年は、無駄ではなかったことを知ったからだ。
そして、これで完成だと感じたからだ。

互いに喜び、互いを褒めた。


思考が個人の世界を飛び出す時、そこには必ず行動が必要だ。

考え方だけでは人生は変わらない。

個人の内面だけで人生は完結しないからだ。
個人を外側の世界とつなげていくのは、発言や行動だ。


あなたは素晴らしい、あなたがいてくれて嬉しい。

喜びとともに、作業を終わらせることができたこと、喜び褒めることができる世界に存在できることに感謝する。