滝行

9年に1回くらい、滝行みたいな日々が存在する1年がやってくる。
9年前、私は泣きながら仕事に追われていた。
来る日も来る日も同じことを続けた。
同じ年、父が癌になった。

精神的にも、体力的にも非常に厳しい一年だった。
周囲に助けられてなんとかその一年を終えた頃、クタクタになっていた。


滝行みたいな日々が今年やってきた。
今度の病人は猫とうさぎだった。
そして、それは乗り越えた。
来る日も来る日も続けることも、今、存在する。

しかし、私は、泣きそうにはならない。
そこに存在するムードが違う。
私の気持ちが追い詰められない。
助けてくれる周囲には感謝しかない。

幸せだな、と思う。


そう、幸せだな、と思う。
9年前の滝行の中、感じられなかったものはそれ。

似たような日々だったように思うけれど。

滝行というより水と戯れる感じ、それが今なのかもしれない。

私の一生を私が最後に振り返る時、最も幸せだったと感じる時期のひとつの中に、私は今、いるような気がしている。
滝行だけど。