DAY154: そして その心の傷はどこにありますか?あれ・・・ないな。
クライアントさん: 心の傷があるんです。
私: そして その心の傷はどこにありますか?
クライアントさん: あれ・・・ないな。
これは、コーチングやセラピーの話になりますが。
私が、シンボリック・モデリングで使うクリーンランゲージの質問が好きな理由の一つは、これです。
大前提としては、シンボリック・モデリングでは、基本スタンスとしては、相手の望む結果に注目するため、「心の傷」の類は、存在を認めはしますが、最初からそれについて質問することはほとんどありません。
けれど、実際には、その人が望む結果を手に入れるために、それを阻む問題が繰り返し登場したり、「長い間、抱えてきた」というような発言がクライアントからあれば、問題についても質問します。
(最初はやりません。)
......
さて。最初の列ですが。
足を怪我したことがある記憶と、足に怪我をしている状態は違います。
心が傷ついたことがある記憶と、心が傷ついている状態も違うはずなのですが、何しろ、心は目で確認できません。
けれど、クリーンランゲージの質問でなら、確認ができます。
そして、この数年、私がセッションを提供したクライアントさんの何人かは、すでに無い何かがまだ自分に存在していて、それが自分の現状に影響していると「思いこんでいたこと」を発見していました。
そのクライアントさんたちが本当に向き合わないといけないことは別にあったのです。
でも、その人たちは、すでに無い何か、眺める必要はない何かを眺めていて、今、本当に眺める必要があることに全く目がいっていなかったことに気づいたのです。
シンボリック・モデリングでは、心を形あるモノのように捉えてワークに取り組みます。
感情も、感覚も。モノとして扱います。
このモノのことを、シンボル、と呼んでいます。
シンボリック・モデリングの、シンボリック、は、平たくいえば、このモノ、のことです。
さまざまな体験や記憶、感情、感覚がモノという物質であるかのように、そのモノから作られた世界のモデリングをします。
まるで、目には見えない心や精神世界が、目に見えている現実であるかのように。
その世界では、足の傷と心の傷に差はありません。心と体は同じです。
だから、心の目で、存在確認ができます。
無いものを、有ると思いこまなくてすみます。
もしくは、有るものを、無いと勘違いしなくてすみます。
それが、私が、シンボリック・モデリングを好きな理由のひとつです。